東京浪漫劇場 > インデックス > 東京湯屋巡礼 > ゑびす湯[滝野川]







★元日営業の心意気、活気あふれる飛鳥山裏の湯

東京湯屋巡礼、実に3年近くぶりの更新。
私がここを放ったらかしにしているうちに、「お遍路スタンプラリー」なども功を奏してか、当初に較べて新たな銭湯人口は増えているように思う。実に喜ばしきことだが、それでもなお重油の高騰や高齢化など、様々な事情で銭湯の廃業は加速している。ここで紹介している銭湯も、気づけば半数が営業をやめてしまった。ほとんどが何度か通った銭湯であるだけに、なんとも残念な気持ちである。

更新が滞っている間も銭湯通いを止した訳ではなかったので、2009年も終わりが近付くと、今年はどこで〆ようかなどと考えはじめたりする。今年は、私など及びもつかない風呂好きと思いがけず一緒になった。上野池之端から北の郊外へ居を移したりもした。今迄とは少し違う年末年始。
12月下旬に一週間ほど地方へ出かけていたために、正月準備が少しせわしない。松飾りをつけたり鏡餅を供えたり、御節料理の用意、迎春花…。秋から住みはじめた旧い家にはふたりしか居ないが、折角の正月、できるだけきちんとそれらしく、家も装わせたいと思った。

そして迎えた大晦日。少々疲れ気味で寒くもあり、遠出をして正月から体調を崩してもと云うことで、我が家からバスで直行できる飛鳥山のゑびす湯を今年の〆の湯にした。
間隔は開いているが、多分訪れるのは3度めくらいだろう。
夕方のうちに風呂を済ませ、夜は紅白歌合戦でも見ながら年越しそばを啜るというパターンが多いのか、夕刻のゑびす湯の客足は引きも切らない。若い番台氏にふたり分の風呂銭を払うと、「もしよろしかったら…元日からやっていますので」と年末年始の営業時間を記した紙をいただく。朝湯などもあるが、三が日を営業して、年始の最初の休みは4日とある。頑張るなぁ。活気があるのも頷ける。
脱衣場は折上格天井、どちらかと云うと年季の入った伝統的なつくりだが、清潔感があって快適だ。一般的には庭が配されることの多い入り口横のスペースには、増床されたものかお釜型ドライヤーや体重計などが並び、壁には王子シネマ、王子100人劇場といった地元の映画館のポスターがある。
浴室に入ると、ケロリン桶のほかに久しぶりに見る白の髪洗い桶がある。正面には堂々とした中島さんの富士山、2009年2月15日の作。右手には追加料金なしで利用できる湿式サウナがあって、入れ代わり立ち代わり人の出入りがある。入ってみると、これが暑すぎなくてちょうどいい。
深い気泡風呂のほうの薬湯は「さわやか天然の湯」とあるが、無色透明、無臭の湯。これは薬湯なのか、井戸水なのか。座風呂に浸かっていると、隣の老婦人が「やっぱりお風呂は気持ちがいいねぇ」とニコニコしている。今年も何度となく、様々な銭湯で出会う見知らぬ相客から聞いた言葉だ。
大晦日の夕刻、もう少しで一年も終わり。どんな生活を送っていても、大きな風呂に浸かってほっとする、ささやかな幸せを大事にしていきたい。そんなことを思いながら、紅白に間に合うように、のんびり帰路についた。



ゑびす湯 銭湯データ※2009年12月現在、女湯。
玄 関 トイレ
様式 番台 その他  
煙突 あり 浴 室
下足箱 松竹 ペンキ絵 中島盛夫画・富士山
傘箱   タイル絵 なし
脱衣場 モザイクタイル画 なし
ロッカー 松竹 シャワー  あり
乱れ籠 あり 立ちシャワー あり
体重計* アナログ(新・旧型各1台) ケロリン、髪洗い桶
ドライヤー* おかま型・手持ち各1台  椅子 プラスチック製
マッサージ器 あり その他 湿式サウナ
ベビーベッド 木製
扇風機(ファン) プロペラ型 気泡風呂 あり
休憩スペース ソファ ジェットバス あり
中庭 なし 座風呂 なし 
広告看板 なし 薬湯 さわやか天然の湯(井戸水?)
ポスター 地元の映画館、銭湯PRポスター等 その他