| 東京浪漫劇場 > インデックス > 東京湯屋巡礼 > 又六湯[南千住] |
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★初春、早川絵師の富士山を堪能 2010年の初湯は、実家に戻ったときに寄る埼玉の銭湯かと思っていたら、生憎の休み。その日の銭湯は結局お預けとなり、松がとれようかと云う頃になってやっと初湯にありつくことができた。 又六湯には昨年末、入りに行こうと目論んでいたが、御節の黒豆炊きで手が離せなくなって、先延ばしになってしまった。 久しぶりの荒川区。三ノ輪駅から歩いて向かう途中には、木造住宅や旧い商店の集まる界隈を抜けてゆく。昔はよく歩いた道だけれど、仕事が変わり、家が変わるうちにだんだんと遠のいているので個人的にはなんとも懐かしい。相方は夜だと云うのに初めて歩くというこの旧い町並みに興味津々。 そこを抜けると煙突が見える。東京の煙突は高い。昨年末に見た地方の銭湯は、短くてなんとなく可愛らしいものもあったけれど、東京の銭湯の煙突は堂々たるものだ。 閉店時間が早めなので、何となく行きづらい感のあった又六湯に、漸く来ることができた。 引き戸を開けると、折上げ格天井の趣ある脱衣場。壁際にはおそらくは旧い物だろう、横長で茶色の木製ロッカーがあり、あまり見たことのない帆船の錠前がついている。鍵はかかっていなかったが風呂道具が入っていたので(失礼)、常連専用なのかも知れない。皆が使っているのはよくある縦長のもので、東京錠。ロッカーの上にベビーベッドがついたものもあり、さくら錠だった。天井から下がる照明や、梁にとりつけられた旧型の扇風機も、さりげないが味わい深い。 手洗いは庭の方へ引き戸を出て、直角に巡らされた廊下をつたってゆく。庭に樹木などはない。暗い中に少し傾いた廊下が一寸怖い。久しぶりにお目にかかる、ロール紙でなくちり紙の手洗いだった。 広々とした浴室は清潔で気持ちがいい。正面には今は亡き早川さんの富士山が、黒々とした色彩でどっしり描かれている。手前の風景は西伊豆。うん、やっぱり私は早川さんの絵が好きだ。丸山さんや中島さんの絵もいいけれど、このコントラストの強い早川さんの色が、下町の銭湯に馴染んだ私には一番しっくりくる。 男湯との境には、白鳥のモザイクタイル画。モザイク画は静的な絵が多いイメージだったが、ここのは真ん中で白鳥が水しぶきをあげて飛ぼうとしているのが動的で、珍しい気がしなくもない。 番台式で閉店も早いことから、くたびれた雰囲気を勝手に想像していたが、それは私の思い込みだった。余計なもののない、シンプルで清潔な空間。旧いからこそ、行き届いた手入れが生きてくる。なによりペンキ絵がいい。新しい年の幕開けに相応しい、秀逸な富士山だった。 |
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