| 東京浪漫劇場 > インデックス > 東京湯屋巡礼 > 廿世紀浴場[日本堤] |
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★アールデコの趣、都内唯一の洋風銭湯 都内に一軒だけ洋風の銭湯があると聞いたのは、訪れる何年も前のこと。なんでも外壁は昭和初期に流行したスクラッチタイル貼りで丸窓があり、浴室にはモダンな白熱灯が灯っているという。こうなったら銭湯巡りの領域を越えて、建築的にも相当の浪漫なのでは…。そう思い続けて幾星霜、なかなか実際に出向く機会は訪れなかった。このご時世にあって、私は何を安心していたのだろうか。 廿世紀浴場へ行くには営団地下鉄日比谷線三ノ輪駅、または都電荒川線三ノ輪橋停留所。どちらを利用するにせよ、徒歩10分はかかってしまう。この立地がまたヨソモノとしては足が向かない一因なのであるが、そんなことを云っても始まらない。一番いいのは、ちょっと面倒だが都バス草64系統に乗り、日本堤で下車すること。周辺は下町風情あふれる住宅地だが、商店街などもあり、散策する愉しみもある。 停留所から路地を折れていった先に廿世紀浴場はどっしりと鎮座していた。塔屋のようになっている部分に縦書きでかかれた「廿世紀浴場」の文字が味わい深い。スクラッチタイル貼りに鮮やかな青のスペイン瓦がアクセントになり、窓の形も洋風で洒落ている。写真で見て知ってはいたものの、やはり実物を目の当たりにするとしばし圧倒される。モダン建築逍遥の廿世紀浴場も併せて御覧戴きたい。 脱衣場に入ると、丸窓とアーチ窓が填っている。内装や天井にもところどころ洋風の意匠がみられるが、基本は他の多くの番台式銭湯とさほど変わらない。 浴室の床は心なしかやや波打っているようだ。湯水が流れやすいようにという設計上の理由とは別に、長い年月の重みを感じた。男湯と女湯の境にはヨーロピアン調の丸い白熱灯が据えられて、やわらかな光を浴室に投げかけている。『東京銭湯マップ2002』によれば、「井戸水を薪でわかした体に優しいお湯」とのこと。その湯に入って天井を仰ぐと、菱形を八つ組み合わせた八角星のマークが見下ろしていた。 カランは、あまり他では見たことのない、「湯」「水」と彫られた旧めかしいもの。充実した設備こそないが、洋風建築の妙と、モダンな雰囲気に満足。ちなみに、ここの和式トイレに備え付けられていたのは、ロール式ではない昔ながらのトイレットペーパー。ナチュラルな旧さに感嘆させられたのだった。 ※2007年末をもって廿世紀浴場はその歴史に終止符を打った。 |
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