| 東京浪漫劇場 > インデックス > 東京湯屋巡礼 > 第四回・松の湯[中十条] |
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★篠原演芸場で興行中の役者御用達の銭湯 東京湯屋巡礼にも、遂に「現存セズ」の文字を入れなければなくなってしまった。 ここ、松の湯の正式な廃業はいつだったのか…この頃、仕事や引っ越しの準備で、私は毎週のように通っていた十条の街をしばらく離れていた。久しぶりに松の湯の前を通った2003年の夏、既に建物は半壊していた。 正直、殊更に気に入っていた銭湯というわけではないが、もう行くことができないとなるとやはり淋しい。もともとこのコンテンツは、様々な銭湯を紹介し、是非訪れてみては?…とアプローチするためのものなのだが、今後は、消えていった銭湯の記録を残すという目的をも付け加えることとする。 さて、在りし日の松の湯はこんな銭湯であった。 中央通り商店街から一本入った住宅街の中、緩やかな坂を歩いていくと、鬱蒼と木々の繁る一角がある。木々の奥に聳えるのは、屋号がしるされた一本の煙突。 フロントに一歩入ると、目の前には突然、京都の龍安寺を思わせる石庭の大きな絵が飾られている。テレビと椅子が置かれたそこには、雑然と全国の観光地でもとめてきたと思しきミニ提灯がズラリ。 脱衣場の天井は格天井。備品は総じてシンプルで、女湯の浴室には椅子も用意されていない。 浴室は、つきあたりに陸中海岸のペンキ絵。くっきりと鮮やかな色遣いが特徴の早川利光氏によるもので、男湯には富士山が描かれていた。一見、男湯と女湯のペンキ絵はつながったひとつの絵のようにも見えるが、中央に柱が通っているため、別々の絵であると思われる。 かつての松の湯の最大の特徴は、十条中央通り商店街にある大衆演芸場、篠原演芸場の最寄りの銭湯であるということである。夜、松の湯に向かう道すがら、また、脱衣場や浴室で、白塗りの役者さんをよく見かけたものだ。 松の湯なき今、演芸場の役者さんたちは反対方向の港湯(第一回で紹介)に移っていったようである。 2003年の年の瀬、かつての松の湯の前を通ると、マンションの建設が着々と進められていた。 |
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