東京浪漫劇場 > インデックス > 東京湯屋巡礼 > 桜湯回想

東京都荒川区、JR常磐線の高架と明治通りが交差するあたりに「桜湯」はありました。
桜湯は当時、東京最古の銭湯といわれ、建物は大正元年にはすでに存在していたことが確認されています。
関東大震災や荒川大洪水、東京大空襲など東京の歴史や街並みに大きな影響を与えた数々の災害にも
見事に耐え抜いた、立派な建築でした。
洪水の際の冠水の跡が白く残る柱、人々の手や往来によってなめらかな艶を帯びた番台や床。
その総てが、これまで忙しく経てきた歴史の重みを今に伝えていました。

残念ながら桜湯は現存しませんが、
機会があって幸運にも建物が健在なうちに内部を訪れることができました。
ここでは、その時に見た桜湯の姿を
一部ではありますがお届けしたいと思います。

なお、このページに掲載する写真はすべて、写真家・小松好雄さんの作品です。
掲載を快諾してくださった小松さん、いつもお世話になっています。このたびはありがとうございます。


*桜湯・外観の意匠*
年代を感じさせる様々な意匠が生きていた外観。
中でも透かし彫りやタイルは他では見ることの出来ない貴重なものです。
タイル絵は九谷焼の画工所として有名な石川県の鈴榮堂のもの。

玄 関 千鳥破風 「さくら湯」透かし彫り
玄関正面左側のタイル絵 玄関正面右側のタイル絵 「松竹錠」の下駄箱

*桜湯・脱衣所周りの意匠*
撮影時には既に細々とした備品は取り外されており、往時を偲ぶものは少なかったのですが、
それでも番台は幾多の客の手によってなめらかに丸みを帯び、
天井はがっしりとして、木の床には艶がありました。
番 台 番台からの眺め 番台の抽斗
折上げ格天井(総欅) 常連さんの石鹸入れ 中 庭

*桜湯・男湯拝見*
豪華なタイル絵はいずれも水にちなんだ景勝が描かれています。
タイル絵の大きさは同じなのですが私がトリミングを誤りました(スミマセン!)。
女湯との境に3点並ぶタイル絵 男湯は南紀白浜。 絵師は早川利光氏
一番奥、安藝の宮島 中央、松島 一番手前、兼六園

*桜湯・女湯拝見*
タイル絵の下に並んだ波形のタイルは「マジョリカタイル」といわれ、
明治時代から戦前にかけて焼かれていたもの。表面に凹凸があるのが特徴です。
ペンキ タイル絵 マジョリカタイル(手前)
天橋立(奥) 琵琶湖(中央) 鯉(手前)
「峯雲」の銘
床の模様