| 東京浪漫劇場 > インデックス > 東京湯屋巡礼 > 第十二回・千代の湯[千住] |
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★赤富士が拝める心地好い銭湯 ゴールデンウイークも終盤のある日、小雨がちらついていたので、駅から近いことを条件に、未開拓の銭湯を探していた。夜だし、あまり電車を乗り換えるのも気が進まない。そんな思いで銭湯マップをめくっていた私はふと思い至った。「そうだ 千住、行こう」。……実際、そんな大袈裟に書かなくても、北千住は私の最寄り駅から地下鉄で10分程度。しかし、その割に千住に足を運んだことは数える程であった。改めて、今まで何故行かなかったのかと不思議に思った次第。 さて、千代の湯は北千住の賑やかな駅前を、商店街に誘われるまま歩いていけば、何となく辿り着ける場所にある。 往来から少し引っ込んだ場所に建てられるのは銭湯のひとつの特徴、とどこかで聞いたことがあるが、ここがまさにそう。以前、日中にこの近くを散歩したことがあるのだが、その時にはなかなか堂々としたファサードと煙突の佇まいに、今度は中に入りにこよう、と思っていたことを思い出した(忘れていた…)。 早速中に入ると、さほど広くはない脱衣場である。天井からはプロペラ式のファンが2台下がり、天井は風格のある折り上げ格天井。ロッカーは2種類あり、ひとつはよく見かける松竹錠のものだが、もうひとつは会社名が記されていない。全体が赤っぽく、木目が見える感じの塗装で、鍵の部分が少し(15ミリ程度)厚くなっている。鍵は鉄板状ではなく通常の鍵を廻しかけるタイプ。御存知の方がいらしたら是非御一報を。 浴室に入ると、つきあたりには、朝日と思われる光を浴びて、赤くなった富士山が男女の浴室の境をまたぐように描かれている。女湯にしるされた「美浜海岸」の文字から察するに、絵師は早川利光氏。『東京銭湯マップ2002』の紹介文に「背景画は赤富士」とあったので、ここのひとつの自慢なのだろう。確かに珍しい。 早川氏と云えば、上がった後にここの脱衣場でひとつ珍しいものを見つけた。富士山の絵である。キャンバス(私にはキャンバスの裏のベニヤの部分にも見えた)にペンキらしき画材で描かれた、富士山の山頂部分の絵。これが早川氏のサイン入り、つまり早川氏の描いたミニ富士山である。サインの横には94年11月の日付があった。 ここの設備周りの使い心地はなかなか良好で、カランの上の、浴用品を乗せる台の部分の奥行きが、広くとってあったのが、ささやかながら嬉しかった。結構この台の部分が狭い銭湯が多いような気がする。シャワーや気泡風呂の気泡、ジェットバスなどの勢いも個人的にはちょうどよく、本来の入浴を気持ち好く愉しむことができた。赤富士と早川氏の富士山の絵を除いては、特筆すべき珍物件も見あたらないのだが、全体的にバランスのとれた、お勧めできる銭湯である。 ※2004年9月30日、千代の湯は40年もの歴史に終止符を打った。 |
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