| 東京浪漫劇場 > インデックス > 東京湯屋巡礼 > 第十一回・菊の湯[谷中] |
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★こざっぱりとした清潔感溢れる銭湯 妙に暖かな初春のある夜、暖かさに気を好くして散歩がてらぶらっと菊の湯へ。 以前一度来たことがあるのだが、谷中という立地の割に、意外に新しくきれいだったことに少々がっかりして、以来足が遠のいていたのである。菊の湯は谷中霊園のほど近く、三崎坂上の路地を右に一本折れたところにある。煙突がしっかり見えるところであるため、見つけやすい。 屋号を染め抜いた暖簾がかかる、こぢんまりとした玄関をくぐると、正面に松竹錠の傘箱が。箱の中に、地面と平行に差し込むようにして傘を入れるタイプである。 昔ながらの町並みが残っているといわれるこの界隈でも、番台式はやはり多くはない。そんな中、菊の湯は番台式である。だが、番台式のもつ、古めかしくどっしりとしたイメージとはやや異なり、新しく明るい雰囲気。脱衣場では、松竹錠のロッカーの上を利用して設けられているベビーベッドを実際に使っている人がいた。母親は子供に服を着せ、床に座らせてから自分の服を着る。床にちょこんと座る子供に向かって、番台のおかみさんが名前を呼びながら音の出る玩具を見せてあやしている。いいじゃないですか、こんな光景。昔は当たり前のように見られた光景だと思うのだが、最近はあまり見ることがない。仕方なく銭湯に来ている母子もいるだろうが、偉いなあと思ってしまう。おかみさんが気にしてくれるというのもまた微笑ましい。 脱衣場同様、浴室もまた清潔で明るい。天井は低く、建築的に気になる特徴はみられないものの、シャワーの勢いや、気泡風呂の泡の強さは申し分なく、純粋に風呂に入る目的のみであれば非常に使いやすく快適である。入浴剤は日替わりなのか、今日は「米ぬかとオリーブ」。何となく美肌効果がありそうな雰囲気である。 湯上がりにベンチで休んでいて、ふと目にとまった「ハニップC」という壜入りのドリンクを飲んでみた。金柑の実が入った、透きとおるオレンジ色の飲み物で、甘いシロップみたいな味だったら厭だな……と怖々なめてみたら、意外にさっぱりと酸味があり、ごくごく飲めそうな味。気に入ってしまった。130円也。これからはもっとこういったお風呂ドリンクにも積極的に挑戦してみよう、と思った春の宵であった。 |
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