東京浪漫劇場 > インデックス > 東京湯屋巡礼 > 六龍鉱泉[池之端]







★上野の森の奥にひっそりと建つ温泉の銭湯

都内の銭湯でも、温泉の出るところが少なからずあるらしい。個人的には、銭湯が温泉であるか否かにはこだわらないが、やはり温泉があると聞くと、何となく得をしたような気分になるのが人情というものだ。 そうしたわけで、以前から、上野動物園の近くの「六龍鉱泉」という名前が気になっていた。
初めてここを訪れたのは、この地に住まいを移した最初の夜だった。以来、東京浪漫劇場がスランプで止まろうとも、何度となくここへ通い、銭湯ばかりかコインランドリーの世話にまでなっている。東京浪漫劇場最寄りの銭湯である。

上野の森の裏手で、一応谷根千地区でもある
土地柄、付近を散歩した帰りに温泉でひとっ風呂、という感じの利用客が多く暖簾をくぐっていく。そのためか、玄関には「手ぶらで入浴できます」という気軽な貼り紙。外国人向けのガイドブックにも記載があるようだ。そういえばすぐ近くには、森鴎外の旧居跡で外国人の宿泊客も多い「水月ホテル鴎外荘」もある。
玄関は立派な破風づくりだが、旧い感じはない。それは内部も同様で、床にしろ建具にしろ、何となく新しくきれいだ。

脱衣場に入ると、プロペラ型の扇風機が天井からふたつずつどんと下がっている。浴室と脱衣場の間の引戸の上の窓には、「六龍鉱泉」と堂々と磨りガラスで屋号が入っている。広々とした、開放感のある銭湯だ。
男湯と女湯の境には、古めかしい筆文字で、温泉の効能がズラリと書かれている。その数およそ30
あまり。東京市衛生試験所発行の証明書の日付は昭和6年とある。この効能を求めてか、レジャー感覚でか、利用者は銭湯にしてはかなり多い。銭湯の経営者の方には悪いが、これまで私が巡ってきた銭湯の中には、あわよくば貸し切り状態になるか、というようなところも少なくなかった。銭湯をすすめる身としてそれを淋しく思う反面、広い浴室に独りきりというのもなかなか愉しいひとときであった。しかし、ここはいつ行ってもある程度混んでいる。やはり温泉が出るところは違うのか……。
浴室のつきあたりの浴槽はふたつに仕切られている定番のもので、いずれも黒褐色の湯が満たされている。広い方は気泡風呂、狭い方は深めの高温の湯である。
ペンキ絵がない代わりに、池のある日本庭園を描いた巨大なタイル絵が浴槽の上を彩っている。そのほか、男女湯の境の壁に富士山のような山のあるモザイクタイル。
いつもきれいで手入れが行き届いている。湯が熱いという話も聞くが、個人的にはさほどでもない。レジャー感覚での利用客も多く、残念ながらマナーの悪さが目立つこともある。折角の銭湯、やはりお互いにマナーを守って愉しみたいものだ。

追記※2005年冬、フロント式に改装された。


【六龍鉱泉 銭湯データ】※2004年3月現在、女湯。
玄 関 トイレ 和式
様式 番台式 その他 温泉の効用の証明書(昭和6年)
煙突 あり 浴 室
下足箱 松竹錠 ペンキ絵 なし
傘箱 松竹錠  タイル絵 池のある和風庭園を描いたもの
脱衣場 モザイクタイル画 富士山の見える水辺の風景
ロッカー 松竹錠 シャワー あり
乱れ籠 あり 立ちシャワー なし
体重計* デジタル その他  
ドライヤー* おかま型×1台  ケロリン風
マッサージ器 あり 椅子 プラスチック製
ベビーベッド 木製
扇風機(ファン) プロペラ型 気泡風呂 あり
休憩スペース 丸椅子 ジェットバス なし
中庭 あり 座風呂 なし
広告看板 なし 薬湯 温泉のみ
ポスター あり その他 なし