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★商店街の奥に建つ昔気質の銭湯

豊島区東池袋。サンシャイン60のふもと、高層ビルの建つ、賑やかな表通りとはうってかわって、今も低層のアパートや民家がひっそりと密集する地域である。歩いていると不意に踏切の音がして、民家の軒先を一両きりの都電が走り抜けてゆく。そう、ここは都電が走る街だ。先だっての再開発で、この日の出湯の近くにあった、もうひとつの銭湯「龍の湯」が姿を消した。そんな事情から、今回の湯屋巡礼は、早く行かねばという焦りに背中を押されていた。

脱衣場に一歩入ると流れているのは演歌のBGM。折り上げ格天井を備えた、典型的な東京型銭湯だ。早川利光氏のペンキ絵は、浴室つきあたりの壁をいっぱいに使った上で、更に左右の壁に数十cmずつ、画面を延ばしてワイドに描かれている。男湯は伊豆海岸、女湯は瀬戸内海なのに何故か中央は富士山。日付は平成14年10月21日とある。

浴槽のそばには、お湯を水で埋めすぎないようにと呼びかける札がかかっている。云われてみれば、最近は「埋める」ということに関して、一般的に寛容になったように思う。かつては若者が埋めていると古老のような利用者に一言注意を受けたりしたと聞いているし、私自身もそれを見たことがあるが、このごろは銭湯の経営者側も「熱かったら埋めて」なんて云っている。古老もじゃあじゃあ水を出していたりする。なんとなく今の世相を映している気がしないでもない。ちなみに私は多少熱くても埋めずに入るようにしている。なぜなら私が往々にして「ヨソモノ」だから。ヨソモノの流儀については、町田忍氏の著書『銭湯の謎』にも詳しいが、やはり、銭湯は地域の人々のものであるから、色々な銭湯に入り歩いているようなヨソモノは、勝手に湯温を下げたりしてはいけない、と思うのである。それに地域の人々のものだといって、利用者は近所の人ばかりとは限らない。寒い季節に温い湯では帰りつくまでに湯冷めしてしまう。埋めすぎないようにという札は、今でもあるところにはある。私はそんな昔気質の銭湯が好きだ。


【日の出湯 銭湯データ】※2003年1月現在、女湯。現在は廃業。
玄 関 トイレ 洋式
様式 番台式 その他  
煙突 あり 浴 室
下足箱    ペンキ絵 早川利光画・瀬戸内海(男湯:伊豆海岸)
傘箱    タイル絵 なし
脱衣場 モザイクタイル画  なし
ロッカー さくら錠 シャワー あり
乱れ籠 あり 立ちシャワー なし
体重計* あり  その他  
ドライヤー* おかま型×1台     ケロリン
マッサージ器 あり 椅子 プラスチック製
ベビーベッド 木製
扇風機(ファン) 扇風機型 気泡風呂 あり
休憩スペース ベンチ ジェットバス あり
中庭 あり 座風呂 なし
広告看板   薬湯 二日に一度、入浴剤
ポスター あり その他 なし